セブンがAmazon対抗策「ネットコンビニ」展開へ。サービスは成功する?普及への問題点を分析!

まとめ

 セブン-イレブン・ジャパンは10日、スマートフォンから注文すると宅配で商品を受け取れる「ネットコンビニ」を始めると発表した。今年はまず札幌市内の100店舗限定で始め、平成31年下期にも全国展開に乗り出す。

セブン、ネットコンビニを展開へ スマホで注文→自宅で受け取り 北海道から全国へ

コンビニ最大手のセブンイレブンが10日、ネット上で商品を注文し宅配で受け取ることのできる「ネットコンビニ」事業を展開していくことを発表しました。

昨今のコンビニ業界来客数低下が危惧されている中、近年その伸びが著しいアマゾンを始めとしたネット通販会社に対抗していく形で今回のネットコンビニ事業を展開していくのだと考えられますが、その普及へは前途多難な道のりが予想されています。

今回の記事において、ネットコンビニ事業を始めるに至った背景と普及への問題点を分析してみたいと思います。

ネットコンビニ事業展開の背景

コンビニ業界の低迷

2017年のコンビニエンスストア業界の売上高は、既存店ベースで前年比0.3%減の9兆4738億円と、3年ぶりのマイナスとなりました。

700円くじやレジ前商品の充実などの“プラスもう一品”の取り組み、更には店内調理品や惣菜等の売り上げは好調で、平均客単価は同1.5%増の611.5円と4年連続でプラスになりましたが、その一方で来店客数は同1.8%減の154億9208万人と、2年連続のマイナスとなっています。

出典:日本フランチャイズチェーン協会

客数が減少している原因は

  • 人口減少
  • 新規店舗乱立による客の奪い合い
  • ドラッグストアの台頭
  • アマゾンを始めとしたネットショッピングの台頭

大きく分けてこの4つにわけられるのではないかと思われます。

人口減少は言わずもがな、コンビニの新規出店が相次いで客を奪い合っていることも来客者数低迷の一因。18年2月末時点の店舗数は5万5395店と前年同月比1.5%プラスで増え続けており、街を歩いていてもコンビニのすぐ近くにまた別のコンビニがあるなんて光景も珍しくありません。

また、一番大きな原因として挙げられるのがドラッグストアの台頭

ドラッグ店の17年度の市場規模は前年度比5.5%増の6兆8504億円となる見込み。生鮮食品の扱いを増やしたり24時間営業の店舗を増やすなどしてコンビニ利用ユーザーを取り込んでいます。

ウエルシアなんかではお弁当の取り扱いも始めていますからね。コンビニよりも全体的に価格が安価なのが人気の理由の一つでもあります。このドラッグストアの台頭により今後もコンビニ業界は厳しい競争が予想されます。

そして、今回のセブンイレブンネットコンビニ事業展開のキーとなるのが、4つめに挙げたアマゾンを始めとしたネットショッピングの台頭。

楽天、ヤフー、アマゾンジャパンの国内ネット通販大手3社の17年の販売額は合計で約6兆7000億円に達し、前年から13パーセント増大しています。

ネット注文導入による人手の不安

セブンイレブン店員の負荷増大

アマゾンの巨大倉庫を基点とした配達方法とは異なり、2万店のリアル店舗を活かした配達サービスをしていくと発言しているセブンイレブン・ジャパンの古屋一樹社長ですが、果たして本当にこのようなサービスが成功するのでしょうか。

このようなサービスを展開していく上で、大きな問題の一つとなり得るのが店舗オペレーションの負荷増大の懸念です。

今回のネットコンビニは利用する際には、まずスマホで依頼する店舗を選んだうえで、商品を注文する。注文を受けた店舗の従業員は、注文された商品が店舗にあるかを確認し、タブレット端末に在庫の有無を入力。その後、在庫状況は注文した客のスマホにショートメッセージで届く。在庫がなかった場合、客は再度購入する商品を決めるか、キャンセルするかを選んで、ようやく注文が確定。従業員は商品を売り場からピックアップし保管、配送会社に引き渡すという流れだ。

■加盟店オーナーからは不安の声も

このようにコンビニ店舗の従業員は、在庫確認や商品のピックアップなど作業量の増加が懸念される。古屋社長は「加盟店はすごく関心を持っている。やるやらないは加盟店の判断だが、店にそんなに負荷がかかるものではない」と強調する。

だが、関東地区でセブン店舗を運営する加盟店オーナーは「ネットコンビニは、いつ注文が入るかわからない。即時性が求められるサービスだと思うが、オーナーや従業員が注文状況のチェックに張りつくわけにはいかない」と不安を口にする。

セブン、「ネットコンビニ」拡大に向けた難題

コンビニの業務が年々多様化している中、ネットサービスまで展開していくとなると業務量が増えすぎてあの程度の時給では割りに合わないような気が。。。

首都圏のコンビニなんかでは既に店員がほとんど外国人!なんてことも珍しくなくなってきていますが、今後さらに日本人が応募しなくなり外国人店員が増えていくのではないかなと個人的には思います。


配送業者の人手不足

運送業は2017年12月に日銀が発表した企業短期経済観測(短観)調査では、「雇用人員判断指数」という項目において、業界別では宿泊・飲食業の次に従業員が不足している状況が明らかになりました。

2017年の雇用人員判断指数指数(自社の従業員の過不足について「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と回答した割合を引いた指数) 参考:日本銀行、時系列統計データ検索サイト

更に今後さらに人手不足を助長する要素があります。

それはトラック運転手の高齢化です。

国土交通省・厚生労働省の調査によると、「道路貨物運送業就業者のうち、40代~50代前半の中年層の占める割合が、全産業平均に比べて非常に高い」ことが分かっており、特に、就業者の中で40〜55歳の占める割合が顕著です。

全産業では34.1%なのに対し、運送業では44.3%にのぼっています。

そんな状況の中で、今回のネットコンビニを今後全国展開していくのは果たして人手の面で可能なんでしょうか。

今回のネットコンビニ宅配はセイノーホールディングスの子会社「GENie(ジーニー)」が担う様ですが、今後その人手を問題なく調達することができるのかが大きな注目点となりそうですね。

サービスが活きてくるのは10年後!?

ところで、このネットコンビニ事業が本格的に普及していくのはいつ頃だと思いますか?

リリースしてすぐ!?それとも普及せず消滅!?

ここからは私個人の考えでしかないですが、今回のこのセブンのネットコンビニ事業が有効に活きてくるのは一つの目安として10年後なのではないかと思っています。

そもそも都内においてこの宅配サービスの必要性はあるのでしょうか

今回のネットコンビニサービスでは、配達まで最短2時間と謳われていますが、現状都内においてわざわざコンビニの商品を最低2時間待って宅配で受け取る層がどれほどいるのでしょうか。

都内を歩けば100メートルごとにコンビニが一件。なんてことも珍しくない中、コンビニの商品を2時間待って宅配してもらうなんて方はそれほど多くないのではないかと個人的には思います。

となると、メインターゲットは地方、特に車に乗ることが難しくなってきている高齢者中心となるかと思いますが、そうなると気がかりな点が一つ。

それはそもそも今の地方在住の高齢者がスマホのアプリを利用しないのではないかということ。

引用:平成27年通信利用動向調査|総務省 

上記のグラフは2016年に実施した総務省『通信利用動向調査』の結果を表したものです。
1年間に1回でもインターネット を利用したことがある人を年代ごとにまとめています。

グラフからわかる通り、50~59歳では91.4%、60歳〜69歳では76.6%もの人がネットを利用しているのに対し、70歳〜79歳では53.5%、80歳以上では20.2%と大きく数字が下がっています。

また、これはあくまで全体の統計ですが、都内に比べて地方の高齢者のほうがその数字は低くなると思われますので実際の数字はもっと低いと考えられます。

更に今回のネットコンビニはスマホのアプリを利用してサービスが展開されていくと発表されていますが、下のグラフの年齢階層別主な情報通信機器の保有状況を見ても分かるとおり、70代のスマホ保有率は9.2%、80代以上となるとわずか1.9%しかスマホを保持していません。

引用:平成27年通信利用動向調査|総務省 

これではどんなに便利なサービスが提供されたとしても利用することは不可能ですよね。

つまりは10年後或いは15年後、今の50~60代が70代80代になって車を運転することが難しくなってきた頃に本格的にサービスが軌道に乗ってくるのではないかと思っています。

勿論、あくまで現時点で発表されている内容を受けての意見ですので今後のセブンイレブンさんの努力しだいではいくらでもチャンスは広がっていると思います。

なにはともあれ今回のネットコンビニという新たな試みが成功するのかどうか注目して見届けたいと思います。